こんばんは。
今日は朝からカザフスタンのアルマティに行ってきました。
片道4時間半の往復です。
ロシアや旧ソ連諸国を飛ぶと、
管制官から飛行場近辺はQFEという、飛行場が0になる高度を指定してきます。
しかもメートルで。
中国もそうらしいですね。
世界中のほとんどの国はQNHといって、海面が0になる気圧高度をftで指定してきます。
ややこしや~です。
でもアルマティは親切で、管制官からQNHはQFEかどちらが良い??と聞かれるので、
いつも使っているQNH!!と返事。
したらQNHとftではなく、QNHとmで言ってきやがった!!
でもご安心を。
そんな時に備えてコックピットにはすぐに単位変換表があるので、それでも安全に飛べます。
でも今はいいですが、冬になると今度はもっと面倒なことに、
寒いと空気の密度がグッと高くなって、飛行機の高度計は基本的に気圧高度計なので、
実際の高度と誤差が出てしまいます。
あのへんの国は寒いの度合いが違うので、誤差もかなりあります。
なので、QFE/mで言われたものをQNH/ftに変換して更に誤差を修正する。
さらに雪がふるので、De-iceとAnti-ice。。。
さらに、高高度の気温が尋常じゃないくらいに下がるので、
燃料が凍らないように外気温に気をつけて飛ばなければなりません。
ちょっと気温が高い低い高度を選んだり、
スピードをあげて空気との摩擦熱で翼の温度を上げるなどの方法がありますが、
どっちにしろ燃料を余計に食います。
ただ、ロシアらへんで給油すると、JET A-1という世界中で使われている燃料ではなく、
TS-1というロシア基準の燃料を入れられます。
そいつはJET A-1より氷点が低く、その辺飛ぶにはもってこいの燃料です。
けどホント、何にしろ冬はロシアらへんに行きたくありません。。。
とはいえ、夏のフライトは別の敵と戦わねばなりません。
雲です。
今日はイランの北に積乱雲がモワッとブワッと広がっていて、避けるのが大変でした。
別に避けるだけならすぐに出来ますが、
トルクメニスタンとの国境あたりから広がっていたので、
両国のATCと交渉して航空路を外れて雲を避ける。
それに、イランは国境10分前に空軍と交信して国境超える許可を取らなければなりません。
じゃないと、もれなくイランのMiGやらスーホイにインターセプトされます(笑)
そうすると、アシガバードコントロールと、
テヘランコントロールとイラン空軍と3つ交信しながら雲を避けて飛ぶ。
さらに、山岳地帯なので、急減圧やエンジン停止時に備えたエスケープルートという、
緊急時に山を避けてダイバートするプランを立てながら、
着陸できる飛行場の気象をモニターしながら飛ぶ。
さらに横風が強くシャークレット付の飛行機だったんで、ま、あの機材のクセですが、
オートパイロットがうまく高度やスピードを保ってくれないので、常に監視して微調整。
さらに積乱雲の風下しか飛べなかったんで雲からかなり距離をおいても揺れるので、
常にスピードを調整して、どうしよもなけりゃ高度を変えるリクエスト。
あ~~~~~~~~~~忙しかった(笑)
エアバス乗りは飛行機の”オペレーター”的な役目ですが、
今日はなんだかとても”飛んだ”気がしました。
そういえば、
アルマティでボーディング中にコックピットの入り口で立ち尽くすカザフスタンの少年。
こっちはハローと言ってるのに、表情ひとつ変えずにフリーズ。
20秒位ビミョーな空気が流れたらそのまま立ち去りました。
親は後ろで「写真撮れ!!」と言ってるのに。
シャイボーイですね(笑)
とおもったら3歳位の女の子。
セクシーお母さんにキャプテンの椅子に座らされてよくわからないまま写真を取られ、
次は私に「写真撮って!!」と、二人でキャプテンの椅子に座って記念撮影。
子供は終始意味がわかっていない様子。
セクシーお母さんの方が「初めてだわ!!」と大興奮。
それを(セクシーお母さん)を見てキャプテンと俺、興奮。
と思ったら一歳児くらいの子がダッシュでコックピットに入ってきて、
ダ~ぁと叫んで、
おねえちゃんらしき5歳位の子が一瞬で一歳児を抱えてキャビンに逃亡。
子供はいいですね。
何人であろうが、心が和みます。—–
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